生きてるのだから
死がいつか訪れるのは当然のこと。
でも神様、
どうか今だけは
私に時間を下さい。

・・・RIVIVE・・・
#9.気持ち

ゆっくりと瞬きをした。
ぼやけて見えるのは、
天井。
どこだろう、病院?
ふと横に誰かいるコトに気づいた。
横目で見る。
・・・久遠君・・・?
「津嶋!!大丈夫!?分かる!?俺だよ、津嶋!!」
分かるよ、久遠君でしょ。
でも声がでない。
「・・・ッ・・・」
「津嶋!!今、救急車呼んでるから!!心配しなくていいから!!」
嗚呼、ここは保健室なんだ。
でもすごい苦しい。苦しいよ。
息がうまくできない。
「・・ッ・・ッ」
「津嶋…」
その時、手が強く握られるのが分かった。
「お願いだから・・・俺に守らせてくれよ・・・津嶋・・・」
涙が溢れた。
今日の屋上でのコトが一気に
私の頭に蘇った。
久遠君は下を向きながら私の手を強く握ってる。
苦しさを一瞬忘れた。
涙が頬を伝う。
私、泣いてばっかだよ。
みんなのせいで。
私も強く手を握り締めた。
こんな気持ち初めてだよ。
さっきまでの久遠君を見てた目が
嘘みたいに。
ホントは信じたくない、こんな気持ち。
それが一瞬のうちに駆け巡った私の感情だった。
次の瞬間、苦しさが私を襲った。
「・・ッ・・!」
久遠君の手を握れなくなっていく。
私は目を閉じた。

またぼやけた天井。
ここは、…病院かな。
口になんか覆い被さってる。
でも、苦しくない。
人工呼吸器か。
少し瞬きをして、横を見た。
「由貴!?」
お母さんが涙目になりながら私を呼んだ。
私は少し笑った。
まだ声がうまくでない。
「良かった。大丈夫、ちょっとした発作だって。」
お母さんが優しい表情で言う。
そっか、発作で良かった。
でも私はこんな風に発作がきて
死ぬのかな。
最期まで苦しいまま、死ぬのかな。
ただ涙が勝手に一粒落ちた。
「大丈夫だから、由貴。絶対大丈夫。」
言い聞かせるみたいにお母さんも涙を隠しながら
それだけ言ってた。
でも本当に良かった。
「さっき」が「最期」にならなくて。
そしたら「気持ち」が伝えられないから。
気付いた気持ちを無駄にしたくなかったから。

次の日には私は病院を出て
登校した。
「おはようー」
教室に入った瞬間、みんなに取り囲まれる。
「由貴!?ホントに大丈夫なの!?」
「でも良かったー。すぐ来てくれて!」
なんか朝から感動しちゃった。
自分のことを思ってくれてる人が
こんなにいて。
「うん、大丈夫^^」
そういっていつもの席につく。
美佳と綾といつもの話をする。
でも、今日だけは少し違うんだ。
初めて知った、この気持ちを
私は2人に打ち明けた。

放課後。
久遠君を探す。
先行っちゃったかな。
げた箱に走っていく。
いた…!
「く…」
「津嶋!!!」
「あ、なッ何?」
噛んじゃったよ。声かけられると思ってなかったし。
「大丈夫だった???」
心配そうな顔つきで久遠君が訊く。
「あ、うん。」
「良かったー。」
少し真剣みが緩んだ笑顔。
言わなきゃ。絶対に。
「久遠君。」
「ん、何?」
………。
「…私を守って下さい。」
おそるおそる顔を見上げる。
一瞬、目を見開いて私を見てる。
長い、この瞬間が。
「俺が、守っていいの…?」
「うん。」
「ホントに…?」
「うん、久遠君がいいなら。」
あと一言、言え、由貴…!
「守ってほしいの。」
瞬きをした。
目の前には久遠君のすごく嬉しそうな笑顔があった。
「俺、馬路で本気で嬉しい!!!絶対幸せにする!!!」
私も笑顔になるのが分かる。
でも同時に、
影の深い不安が頭を過ぎったのも分かった。
この笑顔と、私の笑顔。
どっちも失うものだって分かってるから。
でも、それでも、
どうしても掴みたかったんだ。
今は隠すの、この影は。
消えない影だという事も
とっくに分かっていたはずなのに。