私は馬鹿だから
こんなに遠回りしたけど、
後悔なんてしてない。
今になって気づいた、
友達と笑い会える、
このこみ上げる気持ちを。

・・・RIVIVE・・・
#7.告白

あの後、私はみんなと一緒に 震える足を動かして
教室に戻った。
みんなはただ何も言わずに、
私と一緒にいてくれる。
その優しさに私は初めて気づいたんだ。
人が想ってくれてるっていうのは
こんなに嬉しいコトだってコト。
死を知らされて、
ずっとそればかり考えて、
大切なコト忘れてたと想う。
それを今、思い出せたコトが
めちゃくちゃ嬉しくて
幸せだと想った。
そのうちに先生が来て、
静けさに驚いたみたいだった。
私はみんなに話さなくちゃいけないと思った。
だから先生にお願いをしたんだ。
先生は私の事情を知ってる。
言いたいコトをすべて言ったら、
1時間だけ、時間をとってくれた。
感謝します、先生。

みんなの前に立つ。
微かに手を震えてる。
相変わらず、静まり返った教室。
言わなきゃ。
みんなは今、私のために私を見てくれてる。
手の平を強く握り締めた。
深呼吸する。
「私はあと二ヶ月しか生きられません。」
ゆっくりと、みんなをしっかり見つめて、
私は言った。
今までにない静けさが広がる。
目に涙が浮かぶ。
ここで終っちゃいけない。
私は涙を落とさないように
もう一度みんなを見た。
「私は、1ヶ月前に、余命3ヶ月という申告を受けました。
いきなりの事でどうすればいいか分かりませんでした。
でも、前の学校でのみんなの反応は
私がいなくなるかもしれないっていう怖さが土台になってて。
だから私は、私のことを何も知らないこの学校にきました。
ここなら、私がいなくなることを
すごく哀しむ人を出さなくて済むし、
私も苦しまないと思ったからです。
」 込み上げて仕方ない涙を
唇をかみ締めて止めた。
まだダメ。まだ。
「でも、ダメでした。
私は、このまま死んでいくのがどうしても怖くて
自分を隠すのは
すごく辛くて。
その結果、さっきのような事になってしまって、
本当にごめんなさい。
今まで冷たくしてしまった人、
傷つけてごめんなさい。
ただ私は、
今みんなが私のために、
私の話を聞いてくれてる事が、
すごく・・・嬉しいです。
ありがとう。」
言い切る前に涙が溢れた。
必死に袖を隠すけど、
拭いきれない。
みんなが見えない。
これでみんなが何を思うか分からない。
怖い。
どこからか、小さくすすり泣く音が聴こえた。
ガタッ
椅子を立つ音が聴こえた。
「あたしは絶対後悔させないから。
由貴が言ってくれた事。」
あの時も聞いた言葉。
美佳の声。
「気付けなくてごめん。本当にごめん。」
すすり泣きと混じった声で、
小さく聴こえたのは、綾の声。
一斉にみんなが小さくつぶやきだす。 「ごめん。」「誤解してて。」「本当にごめん。」
誰が言ってるのか、
泣きながらも私には分かった。
私はみんなを
無意識のうちに必要としてたんだ。
話したコトのない人も、
此処にはたくさんいるのに
一人一人の声が分かる。
誰が私に何を言ってくれてるのか分かる。
それだけ私はみんなのコトを見てたんだ、きっと。
「本当にありがとう。」
息に詰まってうまく言えなかったけど
この一言が
しっかりみんなに届くように、
まっすぐ前を向いていった。
きっと涙でぐしゃぐしゃだよね、私。
でもみんなもだよね。
みんなで泣いた。
こんなに嬉しくて泣くのは
初めてだった。
ありがとう、みんな。
頑張るよ、絶対に。
静かな教室の空気は、
優しさに変わっていた。
私のこれからを励ますかのように。