あたしは必死に叫んだ。
もう由貴には届かない気さえ、
したけど、
あの時の約束、
守りたいから。

・・・RIVIVE・・・
#5.〔美佳〕

藍実がこの頃,
由貴にイジメをしてる。
それもものすっごい、小学生がやりそうな・・・。
「なんかいい加減にしてほしいよね、こんなちゃっちぃ事、
続けられてもねー」
思わず不安が口にでてしまう。
「いいよ。やらせておけば。いつか飽きるよ。」
由貴が大丈夫って行ってるから、
大丈夫なんだとは思うけど・・・。
本当に大丈夫なのか、すごく心配。
由貴はただでさえ、
いつ死ぬかも分からない、
そんな時を過ごしてるのに、
こんなイジメでも、
由貴に何か残ってしまったら嫌だ。
生きてる思い出に、
痛い傷がついてしまったらと思うと、
あたしはやっぱり、莉絵を思い出す。
何もできなかった後悔と、
いまさら気づいたっていう喪失感、
もう二度とあんな思いはしたくない。
思い出すだけで目が潤んでくる。
莉絵のためにも、
由貴のためにも、
あたしは由貴に最期がこれでよかったって
思ってもらいたい。
もしかしたら病気が治るかもしれないし、
うん、それを信じたい。
部屋でずーっとそんな事を考えてた。

藍実がやっと動いた。
由貴の目つきが一気に変わる。
大丈夫かな・・・・
「何?」
由貴の声が低い。
怖い・・・。
「調子のってんじゃねぇよ。」
藍実も怖い。
「だから、何?」
由貴は調子を変えない。
「泣いたりすれば?イジメてるんだから。」
藍実は笑ってる。
あたしは藍実を睨んだ。
どこまで言う気?
「だって怖くないし。」
由貴がせせら笑った。
あたしも思わず口元で笑っちゃった。
藍実を見ると、笑顔は消えてる。
「だから調子のってんなって言ってんの。
転校生のくせに気取ってんのか知らないけど。」
どこまで性格悪いの、こいつ。
あたしまでイラついてきた。
早く消えろよ。
どっちも譲らない、口調。
睨み合いをあたしは見てるコトしかできない。
きっと此処で、あたしが何か言ったら
由貴は怒る。
「あんたは私の何?別に何でもなくない?」
これは藍実がキレると思った。
藍実の顔色が変わる。
「は?あんたの方が必要とされてないよ?死ねば?」
一瞬の沈黙。
パシンッ
目の前で由貴が藍実をひっぱたいた。
パシンッ
「・・・!」
あたしが何か言おうとしているうちに、
藍実が由貴をひっぱたいていた。
「死ね。」
ヤバイと思った。
由貴が・・・!
「じゃあ、死んでやるよ!!!死んでくるよ!!!死ねばいいんだろ!!!」
大声で叫んで由貴が教室をでていく。
とっさにあたしは叫んだ。
「やめてーーー!!!由貴!!!行っちゃだめーーー!!!」
もう由貴はいなくなっていた。
「な、何、あいつ・・・」
横で藍実が怯えるようにつぶやいた。
あたしはその瞬間キレた。
「何言ってんの!?
あんた由貴のコト何も分かってないくせに!!!
あと3ヶ月で死んじゃうんだよ!!!
由貴は!!!なのに!!!」
教室中にあたしの声がこだまする。
涙が溢れ出す。
みんなはその言葉が信じられないかのように、
静かになった。
早く追いかけなきゃ。
こんなコトしてるうちに由貴は。
勝手に足が動いてた。
早く。とにかく早く。
お願いだから死なないで、由貴!!
息をするのも忘れて、
ただひたすらに階段を上った。
由貴が行くところなら分かってる。
後ろからたくさんの駆ける音が聞こえた。
みんなあたしを追いかけてる。
由貴を追いかけてる。
屋上のドアは開いていた。
「由貴ッ・・・」
フェンスを掴んだ由貴がいる。
強い風が吹いた。