全部全部
失くしたりなんかしたくない。
生きたい。
もっと生きたいよ。

・・・RIVIVE・・・
#10.未来

「由貴、今日、一緒に帰れる?」
真がいつもの笑顔で聞いてきた。
こんなコト言われたの、初めて。
「あ、ごめん!今日は美佳と帰るんで・・・」
「そっかー、んじゃ仕方ないな。じゃ、明日な!」
少し残念そうな顔して真はまた笑った。
「うん、ごめんね。」
いつでも笑うんだなー真は。
すごい。

今日の休み時間の真との会話。
「はー!?あたしなんかいいから一緒に帰りなよ!」
美佳が怒ったような口調で言った。
「え、別にいいよー」
そりゃちょっとはよくないけど。
「ダメだって!美佳がいいって言ってるんだから^^」
とっさに綾がにこにこしながら言ってくる。
「帰りなよ!ね?」
「あ、ちょっとトイレ行ってくる!」
「え、またー???そういうときに逃げるなよー!」
女子トイレに小走りで向かう。
私は真と付き合いだして
友達とも楽しく過ごせてる。
でもね、なんか分かるんだ。
私の体が悪化してる事。
少しでも苦しくなったら
みんなにバレないように
トイレに行くコトにしてる。
今もそう。
「ふー・・・・」
ドクドクいってるよ。
もう慣れた感覚だけど、
いつでも同じ恐怖が
私につきまとってる。
窓から見える空が揺れてる。
少しおとなしくしてないと。
みんなから離れたくないって気持ち、
隠すのに必死なんだ。
きっと。

放課後、美佳と綾に押されて
真と帰るコトになった。
真は委員会で、私は少し教室で待つコトにした。
カタン
机にうつ伏せて、外を眺める。
静かなグラウンド。
カチッカチッと鳴る秒針。
いつの間にかあたしは眠りについてた。

目を開けた。
・・・?
どこ?
当たりを見回す。
廊下だ。
1階の廊下。
誰もいない。
なんでこんなトコいるんだろ?
記憶が朧げ。
早く戻らなきゃ。
その瞬間、廊下の先に真が見えた。
委員会終わったんだ。
早く行かなきゃ。
私は立ち上がって、廊下を早足で歩いてった。
「真ー!」
階段を上がってく、真。
気付かなかったのかな?
「真!!」
もう一回呼んだ。
そのとき、心臓がドクンと鳴った。
「・・・ッ」
苦しい。
発作だ。
ガクンッ
ひざに力が入らない。
私はそのまま倒れこんだ。
手で心臓を押さえる。
「・・・・ッ・・・ッ」
真・・・!
真はどんどん階段を上ってく。
真・・・
手を伸ばした。
苦しい。
息ができない。
助けて。誰か助けて。
真、助けて。
周りが暗くなってく。
見開いた目が虚ろになるのが分かった。
守ってくれるんでしょ、真・・・
助けて。
私の手が冷たい廊下にそっと落ちた。