私は今、死に一番近いところにいる。
此処まで来た。
あとは静かに空を仰ぐだけ。

・・・RIVIVE・・・
#6.空

ぐらぐらする。
もうすぐだから。
もうすぐ。
哀しいのかなんなのか分かんない。
死にたいのか、死ななきゃなんないのか分かんない。
雲がいつもより早く流れる。
目の前にある空に飛び込もう。
早くしないと。
「由、由貴!!!!」
聞きなれた声が屋上に響いた。
たくさんの駆け音も同時に聞こえた。
ゆっくりと振り返ると、
ぼんやり美佳と綾が見えた。
涙でよく見えない。
「やめて!!!死なないで!!!」
どっと涙が溢れた。
死ねとか死なないでとか、
どれだけ私は苦しめばいいの?
もう終わりにしたいの。
「・・・ッ・・・」
涙で息をのむことしかできなかった。
「由貴!!!そこから降りて!!!降りてよ!!!」
美佳が私のすぐ下に駆け寄ってくる。
泣いてる。私よりもずっと。
決意がぐらついた。
泣きながら私も答える。
「だって!!!死ねって!?
私、必要とされてないんだって!!!」
息が自然に荒くなる。
だって私は今までで一番、死に近いトコロにいるんだから。
「何言ってんの!?必要とされてないって!?
あたし達が何のために今叫んでると思ってんの!?
死なないでって言葉が聞こえないの!?」
あたし達・・・?
美佳の周りを見渡すと、
そこには泣きながら私を見てる綾と、
目を見開いた藍実、立ち竦んでるクラスメイトがいた。
みんな、何のために此処に来てるの?
誰のため?
・・・私のため?
「バ、バカじゃないの・・・・!?
死ねなんて・・・本気で言ってるわけ・・・ないじゃん・・!」
藍実が少し震えながら口を開いた。
私はどうすればいいの・・・・?
「だ、だって・・・
私・・・」
感覚が戻ってくる。
怖い。此処は死に一番近い場所。
怖いよ。
美佳が手を差し出す。
私は震える手を重ねた。
ドサッ
その手をしっかり掴んで、
美佳のすぐ傍に私は落ちた。
足も震えてる。
涙は止まらない。
私は座り込んだまま、大声で泣いた。
美佳も良かったって呟きながら、
私の傍で泣いた。
あの時と同じように。
すぐに綾が駆けてきて、
泣き出した。
「何してんの由貴・・・」
「ごめん・・・」
これしかいえなかった。
あんなに冷たかった風が、
何故か今は暖かかった。
涙も暖かかった。
無我夢中に美佳にしがみついた。
此処は暖かい。
ふと感じるんだ。
此処は、
死に一番遠い場所だと。