眩しくて仕方なかった世界が崩れた時、
私は悲しみを感じる事さえできないんだ。
でもただ1つ確かなこと。
今、それが目の前にあること。

…RIVIVE…
#11.夢

真?
瞳を開けると、
そこは静かに秒針の鳴る教室だった。
手が震えてる。
指先が冷たい。
「…?」
ぼーっと回りを見渡す。
そして初めて、泣いてることに気付いた。
意識してないのに
ずっとボロボロ溢れて止められない。
立てない。
ガラッ
ドアを見るとそこには真がいた。
「…真?」
涙が止まらない私を見て目を見開いた真。
「どうした!?発作!?」
慌てて駆けよってくる。
ずっと走ってきたんだね。
息がきれてるよ、真。
私は首をふるふると横にふった。
何が何だかよく分からない。
泣いてるのになんでこんなに無感情なの?
「大丈夫だよ。
俺ここにいるから…ね?」
心配そうに真は笑った。
その笑顔とさっきの夢が
一瞬にして重なる。
冷たい廊下。
力の抜けてく腕。
恐怖が私の中で
そのまま言葉になってく。
「こうして死んじゃうの?」
うつむいたまま問う。
「誰にも気付かれないまま!?
こうやって、最期まで苦しんで!?
暗くて冷たくて、たった独りで!?」
嗚呼、私は何を言ってるんだろう。
「由貴???大丈夫だから!!!俺・・・」
「何が!?結局こうしてみんなと別れて
私だけ独りでこれが大丈夫っていうの!?
そういうものなの!?」
机に向かってひたすら叫ぶ。
「だって死んじゃう。夢みたいに。
簡単に、何てことない一瞬に。
叫んでも誰も来てくれるわけない。
だって死ぬよ。そういう運命なんだから。」
息がきれてる。
涙が流れる。
もうだめだ。
無理だよ。
嫌だよ。
「由貴!!!!!」
肩をしっかり掴む、真剣な真の顔が目の前にあった。
我に返る。
真の瞳、屋上にいたあの時みたに
まっすぐで強い。
手の震えが止まった。
「何が起こるかなんて誰にも分からない。
それが怖いのは分かるよ。
でも由貴は今、生きてるから。
みんな離れてったりしないから。」
さっきとは違う涙が
いつの間にか頬を濡らしてた。
ふと窓の外を見た。
真も一緒に見る。
夕焼けだ。いつもの。
静かにうなずく。
今度は真をまっすぐに見て。
この涙はきっと無駄じゃない。
嬉しくて哀しくてもう一度泣いた。
みんなと離れたくない。
死にたくない。
みんなは離れていかないよ、
私が離れていくだけ。
それは最初から分かってる事。
今ここにある幸せは
私にしか感じることができない幸せ。
真の手の平が暖かいよ。
私の手の平も暖まってく気がした。
外は綺麗に夕暮れに染まっていく。
ぼやけた光に照らされる教室。
私はあとどれくらい、
この時間を眺めていられるのだろう。
止まればいいのに。
すべて、全部。このまま。
風が通りぬけたことも
忘れるくらいに。